広島・中村祐太投手(24)が28日、大野練習場のブルペンで75球を投げ、改造フォームの習熟に励んだ。昨年末に受けた動作解析で上体が強すぎる悪癖を自覚。下半身主導に取り組み、130キロ台後半だった直球の平均球速は143~44キロにまで伸びた。再出発を誓う7年目の春。結果でアピールし、1軍の布陣に割って入る意気込みだ。

 通い組が練習した2軍の大野練習場。中村祐はブルペンに入り、75球の投球練習に汗を流した。顔に生気がみなぎる。目指す像がクッキリ見えるからこその変容だった。

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 「右の股関節を左にぶつけるイメージ。今までは右で球を操って制球しようとしていたけど、今は手腕を意識せずに股関節で合わせていく感じです」

 重心移動に意識を置き、腕ではなく体幹で投球する――。右股関節の使い方で、投球コースが変わる感覚も出てきたという。「目をつぶっても同じところへ投げられるのが理想です」。考え方や取り組みが昨季までとは大きく変わった。

 分岐点はあった。1軍登板わずか2試合、未勝利に終わり、暗中模索していた昨年末。東京に住む知人の計らいで、スポーツ用品メーカーの動作解析を受ける機会に恵まれた。提示されたデータは、耳に届く何万語よりも説得力があった。

 「腕の力だけで投げる典型。下半身の力を上に伝える動きが下手で、せっかく貯めたパワーが投げる時には全部抜けていました」

 開幕延期も右腕に味方した。結果に一喜一憂することなく、課題とじっくり向き合う。いきおい、137~8キロだった直球の平均球速は143~4キロにまでアップ。水本2軍監督は「由宇のシート打撃では146キロが出た。すごくよくなっている」と評価する。

 中村祐本人も言う。

 「今日よくて、次がダメ…というのが減っているので、平均値はよくなっているかな…と。早く開幕してほしいぐらいです」

 17年に先発で5勝。18年4月24日のDeNA戦では完投目前までいった。だが、以降は低迷。打たれる自分が許せず、いたずらに自問自答を繰り返した。曲折を乗り越えて迎えた7年目。実戦再開を待って巻き返し、不透明な1軍投手陣に割って入るつもりだ。

 「今は、この感覚を体に覚え込ませたい。ダメになった時に立ち戻れるように。しっかりアピールし、1日も早く1軍に上がれるように。キャリアハイの成績を残せるように」

 一つのキッカケで自分の今に気づき、違う世界が広がることはよくある。がむしゃらに投げ続けてきた24歳。暗闇に、ひと筋の光が差し込んでいる。


引用元   
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200429-00000026-spnannex-base 【広島・中村祐 フォーム改造で1軍だ!「早く開幕してほしい」】の続きを読む